低体温症てよく聞くけど・・どんな病気?

人の脳や内臓の温度のことを深部体温と呼びますが、おおよそ37.5℃程度あり、一定に保たれています。深部体温というとイメージが湧きにくい場合は、脳や内臓の温度、と考えると比較的理解しやすいと思います。低体温症とは、脳や内臓の温度を一定に保てなくなり35℃以下になった状態です。わずか2℃下がっただけ、と思うかもしれませんが、人の体は、狭い範囲の温度変化にしか本来耐えられません。熱が出て40℃になった時のことを考えると、35℃も体にとって尋常でない負担がかかっていることが想像できそうですね。
内臓の温度が下がらないために、人の体は、まず体の表面や皮膚を巡る血液を減らします。このため表面はとても冷たくなりますが、内臓の温度が逃げないように働きます。全力投球で内臓を守ろうとしますが、それでも体温が上げられず、内臓の温度が35℃を下回ると低体温症になり、体の機能が低下します。
脳が冷えると、興奮したり眠くなったりと意識が正常ではなくなり、進行すると意識がなくなります。心臓が冷えると不整脈が起こったり心臓が止まることもあります。
低体温症は内臓の温度が35℃を下回る病気と聞くと、体温がわからなければ何もできないかと言うと、現場ではそんなことはありません。野外では、なかなか正確に内臓温度は測れませんし、同じ28℃と言っても意識の無い人もいればある人もいます。体温を測ったり想定できないと低体温症の対応ができない、ということではありません。最近は、低体温症を見たことない人が、難しい説明をして、一般の人の理解を難しくしてしまっているように思います。
意識を失い、体が凍結している場合は、低体温症を想像するのは難しくはありません。本当に大切で難しいのは、最初の段階で低体温症を疑えるかどうか、ということです。極寒の地ならすぐにイメージできるのですが、夏の登山で昼間汗をかいて、夕方道に迷っているうちに低体温症になる、ということが容易に想像できるでしょうか?
私は、御嶽山の噴火災害で、発災翌日、救助隊が活動する映像から、低体温症が発生することを危惧しました。そして、その後の調査で、実際に低体温症が発生していました。
早い段階で低体温症を疑うには、経験、知識、想像力が必要ですが、難しい説明より、実際どんな状態でどうなったのか、という具体的な話を聞いていただき、そこから学んで行くことが一番の近道だと思っています。
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