低体温症になったら、助かるの?

低体温症を初期段階で改善できなかった場合、蘇生を可能にするタイミングは、現場での救助と病院医療との2つに分けて考えます。現場での救助は、病院に到着までの搬送中の対応も含みます。

低体温症は、高血圧などのように多い病気ではありませんので、病院にいても医師として遭遇する機会は限られており、意識が低下するほど悪化した低体温症の救命は、高度な医療機関でも困難な課題です。

一方、山で遭遇する低体温症は、病院のように医療機器がなく、厳しい環境のことが多く、これまでは山の中で低体温症を改善することは、非常に難しいことでした。しかし、海外では科学に基づいた研究などが報告されており、日本では救助隊の皆さんと医学に基づいた実験を山の中で行ったり(注意:人体実験ではありません)、訓練で検証してもらったり、生存救助をするための応急処置を構築してきました。そして、低体温症ラッピングができました(ラッピングの説明へ飛ぶ)。さらにこの原理を発展させた救助方法を構築しています。

現在、実際の救助活動を通して本当に助かる命を救えるようになってきました。何より、あと半日遅れたら助からない生命を救うために、救助隊が熱意を持って、極寒状態でも救助に行ける体力と技術を鍛錬されたお陰です。低体温症救助の進歩は、目覚ましいものがあります。

最近、低体温症にプラティパス湯たんぽを使用することが随分普及されてきました。これは、ラッピングを開発当時の救助指導官の方に、低体温症の人を加温する医学的なメカニズムを説明したところ、翌日の訓練で考案された素晴らしい知恵に基づく方法です。こういう方法を、一般登山者がもっと身近に活用できるように普及に励んでいます。低体温症を救うのは、救助隊である前に、登山者自身なのです。

最近心配していることは、間違った知識や断片的な受け売りの拡散を見かけることです。ぜひ、正しい知識で、自分や仲間の命を守ってほしいと思います。

低体温症は、予防ができ、本来助かる病気なんです!