雪崩の死因は?

雪崩埋没してしまった場合の死因は、窒息、外傷、低体温症になります。
それぞれの頻度をみますと、窒息が全体の75〜94.6%を占め、次に外傷死が5.4〜23.5%、低体温症による死亡は実は少なく1%程度である、とヨーロッパと北米から報告されています。
私の調査した本邦の死因も同様の結果を示しています(論文投稿中)。
雪崩で埋没してしまった人の生存の割合は、時間とともに低下します。この低下の仕方に注目したいのですが、生存の割合は直線的に下がるのでなく、最初の35分までに、大きく低下するのが特徴です。欧州では35分までに34%は生存する(2001年Hermann)と報告したのに対し、カナダでは35分で7%しか生存していない(2011年Pascal)という衝撃のデータが出ました。
理由は、急激に起こった窒息、顔のまわりが雪で囲まれ呼吸をする空気のスペース(エアポケット)がない、重篤な怪我を負うこと、によります。
雪崩は何トンという雪のブロックが流れます。時速数十~200kmもの高速で流れ落ちて来る雪のブロックに、自分も一緒に流されるのです。雪のブロックというより、解けては凍って踏みつぶされた氷の塊、と言った方が、イメージし易いでしょう。この氷の塊にぶつかったり、木に殴りつけられたり、塊の下敷きになったら、大きな外傷を受ける可能性が大きくなります。

最近の報告では、雪の密度が大きい海岸地方のような地域では、内陸よりも死亡率が高くなる、とされています。これは、雪の密度が高い方が窒息と外傷の発生を高めるとされています。以上を考慮すると、地域差のみならず、季節によっても崩れてくる雪の性質には違いがありますので、死亡率の割合を左右するかもしれません。

窒息、外傷による急激な死亡に対し、低体温症死はもう少し時間がかかって進みます。窒息と外傷を免れて、雪崩に埋もれた人は、体温の低下が進んでいきます。人の体温低下は最高で1時間に9℃低下する、とこれまでの事例から報告されています。低体温症が著しく進行し、救出が遅れた場合は、死に至りますが、実は、低体温症が早く進行したが故に、身体の酸素消費が減り、雪の中の窒息ギリギリの酸素の量で生きながらえた事例もあります。