山岳医療救助情報 Mountain Medicine and Medical Rescue Information

高山病の予防

【高所の医学】
日本TV “イモトさんキリマンジャロ登山” 帯同 & 高山病豆知識

2011.08.15

平成23年8月20−21日、日本テレビ『24時間テレビ』イモトアヤコさんと、立木早絵さんのキリマンジャロ登山に、国際山岳医として帯同し、チームの健康をサポート致します。

そこで簡単に高山病についてご説明します。
詳しくは、講習や、ハンドブック化でご案内していきたいと思います。

高山病は

1)急性高山病(軽症ー中等症は生命危機はなし、重症は脳浮腫と同様)
2)脳浮腫(死に至る)
3)肺水腫(急速に死に至る)、に大きくわかれます。
高山病は標高2,000m以上から起こるとされ、2,500m以上で一般的になってきます。

高山病は予防ができます。

1. ダイアモックス®の是非
ダイアモックス®は、高山病予防薬として随分有名になりましたが、UIAA医療部会、国際山岳医の考え方では、キリマンジャロの標高5898mではダイアモックス®は基本的に不要で、高度順応をきちんと行うことが必要である、と考えています。またダイアモックス®の内服が、高山病予防を保証するものではありません。高度順応を早める、と考えて下さい。また、ダイアモックス®は、肺水腫の予防にはなりません。
2. 体質を知る、体調を確認する
Slow acclimatizers(高度順応がゆっくりの人), Fast acclimatizers(高度順応が早い人), HAPE susceptible (肺水腫のかかり易い人、これはかかってしまわないとわかりません)のように、各個人が登山をしながら、自分の体の特徴を理解する事が必要です。
登山中は、毎日、さらに適時、下記の症状が出ていないか、漠然と体調が不快でないか確認し、仲間に伝えて下さい。同じグループ内に、順応速度が異なる登山者がいることはよくあることです。
※ ちなみに私は、Slow acclimatizerです。マッキンリーでは6人チームでしたが、私だけ5日間カリフォルニアの2,500-4,200mで高度順応トレーニングして現地入りしました。チームの1人は2,700mで肺水腫で下山しました。
3. 高度をあげる速度
万人に適するルールはありませんが、基本的なルールは、高度3,000m以上では、睡眠をとる高度を、1日300m(Slow acclimatizer)〜500m(Fast acclimatizer)の上昇にとどめ、3日毎に、休息日を用意する、ということです。
4. Buddy system (仲間と確認し合う)
高山病、脱水、低体温症、低血糖等は、早期に自分で気づかない、または認めたがらずに、結局対応開始が遅れてしまい、重篤になりうるのが特徴です。必ず、仲間とお互いの様子を確認し、症状に早く気づくようにしましょう。本人以外が登山の可否を決定しなくてはならない場合もでてきます。

症状は、 高山病:頭痛、めまい、吐き気・食欲不振、疲労感、睡眠障害が特徴です。 脳浮腫:ひどい頭痛、うまく歩けない、指定したものを指差せないなどが出てきます。 肺水腫:呼吸数が増加し、呼吸困難、発熱が出現します。 高山病の症状は、新たな高度に到着し、通常半日で出現しますが、順応が順調であれば、数時間で症状が消失します。しかし、Slow acclimatizersの中には、3日程度かかって新たな高度に順応することもあり、ここは、人それぞれで、自分の体調にあわせないとなりません。
肺水腫は数時間で起こる事もありますが、数日かかって起こることもあり、2日目の夜に多いとも言われています。

治療法:下山! 下山! 下山!
体調がすぐれない、悪化している場合は、最低500-1,000m高度を下げて下さい。

         

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