雪眼
SNOW BLIND(雪眼炎)- ULTRAVIOLET KERATITIS(紫外眼炎)
紫外線による紫外眼炎は角膜(黒目を覆っている部分)の傷害に代表される。
角膜の炎症は、紫外線への強い曝露によりわずか1時間曝露されただけでも起こりうるが、症状があきらかになるには6時間から12時間かかる。
注:各波長成分は,同じ物理的強度であっても、有害性の強さが異なる。このため、紫外放射の有害性の強さは、一般にその物理的強度で表すことができない。
【1】症状と兆候
- 眼痛-典型的には曝露から6時間〜12時間後に始まる
- 異物感、目の中のざらざらした感覚
- 羞明(強いまぶしさ)
- 流涙(多量の涙、涙が止まらない)
- 結膜の充血や浮腫み (結膜=まぶたの裏側や白目部分)
- まぶたの浮腫み
- 毛様充血(毛様=白目部分の中でも黒目の周囲)
- 通常、両側性
【2】治療
(注意:薬剤は医師の処方が必要ですが、特に★マークは医師不在時の使用はできません)
一般に24時間以内に自然治癒するが、疼痛と視界の制限を軽減する処置を行う
- 目をこすらないようにし、コンタクトレンズをしていれば外す
- 局所療法 点眼薬
(1)抗生剤軟膏 エリスロマイシン0.5%など、1cm、8時間毎
(2)非ステロイド性消炎鎮痛剤 1滴、8時間毎(6-12時間毎)
★(3)調節麻酔剤 アトロピン1%、1滴、8時間毎
※麻酔薬の点眼は検査や診断目的に1回のみの使用とし、長時間の使用は角膜の再上皮化を妨げるので行わない。
※ステロイドの局所投与は、上皮修復を遅延させうるため投与しない
※人工流液は使用しない。効果が不明。 - 内服
(1)疼痛が激し場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤を内服。
★(2)必要なら、麻薬性鎮痛薬も考慮。 - 退避
医療介入が全く出来ないような野外や隔絶された場所にいる場合、下山する。
緊急ではないため通常通りでよい。
【3】予防
- UVBを99%以上カットするサングラスを着用する。
- サングラスにサイドシールドをつけ、側面から進入する紫外線も予防する。
- 予備のサングラスを携行する。
- 何も無い場合は、当座のサングラス替わりになるものを作る。
厚紙や段ボール、ダクトテープなどに細い水平のスリットを入れ、目を覆い保護する。
Wilderness Medical Society practice Guidelines for Treatment of Eye Injuries and Illness in the Wilderness 2012
Field Guide to Wilderness Medicine 4th edition, Paul S. Auerbach
より大城和恵が引用作成
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