ICAR凍傷2000
IKAR 国際山岳救助協議会医療部会よる治療勧告2000 登山者向けの現場での凍傷治療
ICAR REC M 0015 E
International Commission for Alpine Rescue
Commission for Mountain Emergency Medicine
Recommendation REC M 0015 of the Commission for Mountain
Emergency Medicineof 2000
On Site Treatment of Frostbite for Mountaineers
山岳救急医療部会による勧告 2000
登山者向けの現場での凍傷治療
David Syme
Intended for mountaineers
UK DIMM 大城和恵 2010.12.26
(1)定義
定義
凍傷は、局所的な寒冷傷害である。表層にとどまるものもあれば、深部に至るものもある。凍ってしまった部分は、切断に至ることもある。
かかりやすくなる要素
- 脱水/疲労/体力不足
- 保温不足/湿気/風による冷却
- 動かさずにいる
- 外傷(骨折など)
- 高所
- 凍傷の既往
- 装備による循環の障害(ハーネス、きつい靴、時計、指輪など)
- 持病(糖尿病、レイノー病など)
- アルコール/ニコチン/薬
予防
- 凍傷はかかりやすくなる要因を避ける事で、予防が可能である。
- 特に、靴、手袋は良質で、耐風性があり、きつくないこと。
10分間の加温で感覚が回復すれば、予後良好な表層の凍傷を示しているだろう。しかし、すでに予防に失敗した事を示している。予防策が改善されなければ、凍傷は再発する可能性がある。
症状/兆候
- 感覚がなくなり、蒼白
- 痛みが無く、感覚がどんどんなくなっていく
(2)緊急時の治療
1.凍傷発症の可能性のある開けた場所で
- 風のあたらない所へ移動する/撤退を検討/飲水(可能なら温かいもの)
- もし足がむくんでいるなら靴を脱ぐ-しかし替えの靴・物の問題を検討
- 靴下、手袋が濡れていれば脱ぐ。乾いた物に取り替える
- 手/足を、仲間の腋か鼠径におき、10分だけ温めてみる
- 靴を履き替える
- 循環を改善する為に、アスピリンかイブプロフェンを投与する(もし入手できて、投与禁忌が無いなら)
- 罹患部位をこすらない。組織障害をまねく可能性があるため
- 直接熱を接触させない
もし感覚が回復すれば
----歩行継続可能である
もし感覚が回復しなければ
----最も近い温かいシェルターへ行く(小屋/ベースキャンプ)
----治療を尋ね受ける
高所では
----可能なら酸素投与
2.ベースキャンプ、山小屋、他の安定したシェルターの状況
- 靴を脱がす/濡れた衣服を乾いた物に取り替える/指輪を外す
- 温かい飲物(アルコールは是非あり)
- 疼痛緩和と循環改善のためにアスピリン500-1000mg、またはイブプロフェン400-800mg
(訳者注:この投与量は外国人用量、日本人の適応用量外)
迅速な加温:
- 温風は決して使わない/決してこすらない
- 37℃(赤ちゃんのお風呂の温度、肘で温度を確認)の温水(可能なら消毒薬を含んだ)に浸す
- 温水の温度を維持する為にさらにお湯を加える
- 罹患部位の温度が体の他の部分と同じ温度になるまで、あるいは色が改善するまで(約1時間)温める
- その後、乾かし、注意深くゆるく滅菌済の包帯や保護剤をあてる。可能なら罹患部分を挙上する
- ・復温後は傷病者自身は歩かない。搬送義務がある。経過と共に大きな水ぶくれが出現す。それを決して壊さないように
忘れずに!
禁止:雪や、他の道具でこすること
禁止:低体温症がある時に、局所(罹患部分)のみ加温する事
禁止:再び凍る可能性があるのに、加温を開始すること
やるべきこと:できるだけ速やかに、医療援助を受ける事
もし凍った部分の循環が48時間以内に回復されないと、凍った部分を失う(切断する)ことになりうる。
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